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7
自分たち以外の魂を探し始めると、それは案外すぐ見つかった。フヨフヨと漂うモヤのようなモノ。俺は加藤に声をかけた。
「加藤さん、いる?魂らしきやつ見つけたぜ」
加藤の方からは俺が見えているらしいが俺の方からはうまく加藤を認識することができない。今見えている魂が加藤のものなのか新たなものなのかの区別がつかないため一度加藤に声をかけた。
すると左方から加藤が答えた。
「はいここにいます。ただ、榊さんが見つけたとおっしゃっている魂は私には見えません。」
「そっちにいたのか。ほらすぐそこ、正面に漂ってるやつ。」指を刺しながら説明するがやはり加藤には全く見えないらしい。
かくゆう俺も他人の魂は加藤のものしか見たことがないので自信がない。確認を取るためににそれに近づいていく。すると向こうもこちらに気づいたらしく、近づいてきた。
「あの!あなたも、あなたもですか?」
目の前のモヤは興奮した様子で声をかけてくる。
「落ち着いて。」今のままでは情報交換などできそうも無いのでひとまずなだめる。
「ああ、そうですよね、すいません! 初めてだったので!」活発な少女のような声でモヤは興奮冷めやらぬ様子のままだ。
「えっと俺、榊って言います。聞きたいことがあるんですけどいいですか?」俺はにこやかな声色で語りかけた。
「あっ、わたしは佐藤です。わたしも話し相手が欲しかったんです!みんな死んだはずなのに何故かわたしだけ意識残ってて。誰かいないかなって探しても誰も見つからなくて、もうどうしたらいいのかって思ってたとこなんです。ほんっとあなたが現れるまでずっと1人で、」
「えっと、質問いいですか?」
マシンガンのように止めどなく話し続けているのを遮って聞いてみる。そうでもしないといつまでも話が進まないような気がした。
「あっすいません、わたしばかり話しちゃって。なんでもきいてください、わたしでわかることならなんでも答えます。」
やっと質疑応答という形を作れた。早速質問に取り掛かろうとした時に隣で様子を見ていたであろう加藤が語りかけてきた。
「榊さん、一体なにと話しているんですか?」
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