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加藤の問いかけに俺は一瞬困惑する。
「なにとって、目の前にいる魂の佐藤さんとだよ。」ありのままの事実で答えるが、加藤は納得していない。
「私にはあなたが1人で話しているようにしか見えないのですが?」
いや、そんなバカな、と一瞬思ったがはじめは俺も加藤のことに気付けなかったことを考えると案外普通のことなのかもしれない。
念のため佐藤さんにも確認をしてみる。
「あの、じゃあ一つ目の質問させてもらいます。俺の横にいるモノが見えますか?」
「えっーと?何かいるんですか?」
不思議そうに首を傾げている様子が頭に浮かぶような困惑した声で返ってくる。
どうやら向こうからも加藤は見えていないようだ。
「いえ、お気になさらず。」
次の質問に移ろうとしたところで加藤が口を挟んでくる。
「私のことも説明してくださいよ。気になさらずって、私いない丁で進めるつもりですか?」
「あんたのことを説明しようとそれだけでまた時間がかかりそうだから、後でな。」
小声で加藤をあしらって佐藤さんへと質問を続けた。
「佐藤さんは世界の最後の時になにをしてました?」
「えっと、アラート聞いて世界滅んじゃうってなって、信じられなかったてど、一応なんかしとこうって思って。
じゃあなにしようってなったけど、いざ最後って言われても何やろうってなって焦っちゃって。結局悩んでたら目の前が真っ白になって、なんか一瞬すごく熱くて。多分そのタイミングで死んだんだと思います。なんでなにしてたって聞かれると、、、」数秒の間の後「なにもしてないのかも」最後の一言だけは少し寂しそうだった。
その後、加藤と話し合ったことを伝えて、加藤の説明を佐藤さんに軽くしながら時は過ぎていった。
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