カウント5 姉さんの真実②

1/10
27人が本棚に入れています
本棚に追加
/292ページ

カウント5 姉さんの真実②

 この間の出来事が蘇る。  姉さんの顔面に容赦(ようしゃ)なくぶつけられた足の裏。  加減の仕方を知らないかのような、あるいは姉さんのことを人と思っていないかのような、強烈な蹴り。  倒れる姉さん。  痛む、痛む。  咲良は自分の胸をぎゅっと抑えた。  再びドアを開ける未海。  そこにはすでにボディースーツを着た和美の姿。 「お、お前ら、早いんだな」  明らかに動揺した様子で和美がそう言った。 「姉さん。その身体どうしたんですか?」  未海がそう尋ねる。  和美とみのさんが息を呑んだ。  和美の背中には、無数の(あざ)があったのだ。  試合で付いた痣ではないことは分かっていた。  もちろん試合で痣が出来ることはある。  しかし、試合は基本的に力は加減されているし、痣が出来てしまったとしてもあれほど無数に出来はしない。 「試合で出来た痣だよ」  しかし和美はそう言い訳した。  その言い訳が苦しいことは和美自身が良く分かっていた。 「試合でそんなに痣が出来るはずありません。何の痣ですか?」  未海の問いに和美は黙った。
/292ページ

最初のコメントを投稿しよう!