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カウント5 姉さんの真実②
この間の出来事が蘇る。
姉さんの顔面に容赦なくぶつけられた足の裏。
加減の仕方を知らないかのような、あるいは姉さんのことを人と思っていないかのような、強烈な蹴り。
倒れる姉さん。
痛む、痛む。
咲良は自分の胸をぎゅっと抑えた。
再びドアを開ける未海。
そこにはすでにボディースーツを着た和美の姿。
「お、お前ら、早いんだな」
明らかに動揺した様子で和美がそう言った。
「姉さん。その身体どうしたんですか?」
未海がそう尋ねる。
和美とみのさんが息を呑んだ。
和美の背中には、無数の痣があったのだ。
試合で付いた痣ではないことは分かっていた。
もちろん試合で痣が出来ることはある。
しかし、試合は基本的に力は加減されているし、痣が出来てしまったとしてもあれほど無数に出来はしない。
「試合で出来た痣だよ」
しかし和美はそう言い訳した。
その言い訳が苦しいことは和美自身が良く分かっていた。
「試合でそんなに痣が出来るはずありません。何の痣ですか?」
未海の問いに和美は黙った。
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