デザイナーのお仕事

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 午前中は、次に控える案件の情報収集とスケジュールの確認、制作準備など納期に追われない仕事で時間が過ぎていった。入社3年目にもなると、一人でできる仕事の範囲もある程度広がって、徐々に一人の個人事業主のような働き方に近づいてくる。周りの先輩方も自分のスケジュールで自由に動いているため、デザイナー同士のコミュニケーションは密とはいえないだろう。それでも、 「ヨーコ、ランチどう?晴れてるからどっか外いこーよ」  こうやってそのときに近くにいる人達同士で、お昼を誘いあって食べに行くことはたまにある。独り立ちすればするほど孤独になりがちなこの仕事は、こういう時間がとても大切だと思う。 「良いですね、行きます」  誘ってくれたのは、私より2つ先輩の三枝(さえぐさ)ミエコさん。斜め前の席に座っているその明るい先輩は、仕事に息が詰まると私にときたまちょっかいをかけてくるような、年上だけどカワイイ先輩だ。私は快く返事をして、パソコンをスリープにする。  私はこの仕事が、とても好きだ。
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