いつもの3人

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いつもの3人

 6月は梅雨の季節、雨の日が多くなるのは、日光大好きの私にとっては憂鬱な時期である。そんな中でたまに訪れる今日のような晴れの日は貴重で、毎日の楽しみの一つ、ランチ休憩を外で楽しめる絶好の機会だった。  一人で食べに行くのもいいが、私には同期入社で仲の良い女性が2人いて、彼女たちも晴れが好きな「晴れジョシ」なのでこんな日は必ず誰かが声をかけてランチに行く。お昼の時間が近づいてきたとき、私は仲良しの澤井(さわい)いづなと白石(しらいし)由夏(ゆか)に社内チャットを飛ばした。 『今日、貴重な晴れの日!ランチに行きませんか』  返事はすぐに返ってきて、どうやら二人も同じことを考えていたらしい。 『行ける!今日外、気持ちよさそうだね~』 『いーねっ、いこいこ!13時に正面ゲートの左でいい?』  私たちのいる会社は全社的に始業が遅いため、お昼は大抵みんな13時以降にとることが多い。私のいるデザイン部は特に時間の縛りが緩いのだが、二人は一応、会社の規定に合わせて動くことが多いため私も二人に合わせる。 『了解!今日はテラスの方まで歩いてみよっか』  私はそう返信して、自分の仕事に戻る。テラスとは私たちの間で勝手に名付けているランチスポットで、二つのオフィスビルの間に共用の緑地スペースのようなところ。その周辺のお店の窓際を確保するか、テイクアウトしたものを共用のベンチで食べるか、気分によって選べるのだ。会社から少し歩くので、ある程度時間に余裕のある日でないと落ち着かないのだが、繁忙月とはいえ今日はまだ月初なので二人とも大丈夫そうである。  一つ楽しみができたところで、約束の時間までに区切りのいいところまで終わらせるべく、私はパソコンの画面に映る制作ソフトに再び集中する。
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