いつもの3人

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 私がビルの1階、正面ゲートまで来た時には、二人は既に着いていて話をしていた。  女性にしては背の高いユッカは、今日も営業先に行くのか行ってきたのか、パンツスーツスタイル。といってもかっちりした感じではなく、カーキのパンツに薄手の白ブラウス、七分丈のネイビージャケットと良い感じに崩している。担当するクライアントの特性にもよるが、広告代理店の営業は比較的服装に緩いと思う。ストレートの黒髪を後ろできゅっとポニーテールにしているところに、ユッカの活動的な感じが現れている。  一方並んで背の低い方がいづなで、少し小柄な彼女はいわゆる「ゆるふわ」な女の子。営業アシスタントの彼女は内勤なので服装の自由度は高いのだが、王道無難のオフィスカジュアルスタイルが多いと思う。今日は、薄手でライトブルーのブラウスにネイビーの膝丈フレアスカート。色合いが少し大人っぽいが、いづなは薄いピンクとかも似合うと思う。  二人は歩いて近づく私に気付くと、話を切り上げて手を振ってくれた。 「お待たせ、良い感じに晴れてるね」 「だよね、今日午後からアポだけど、ちょっと暑いくらいかも」  ユッカはどうやら、ランチの後に直接クライアント先に向かうようだった。 「テラスの方行くんだっけ?早く行こ、お腹空いちゃった」  マイペースのいづなが私たちをせっつく。私たちはこうしてたまにランチしながら、お互いの仕事やプライベートの近況を報告しあう仲である。
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