ひと夏の思い出

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ひと夏の思い出

 俺はもう疲れた……働くことに。人と付き合うことに。生きることに。  気がつくと、会社とは反対方向へと走る列車に乗っていた。  「ははは。今から乗り換えても遅刻だ。もういい、このまま死にに行こうか」  終着駅まで行けば、そこには言わずと知れた飛び降りの名所がある。  「ーー次は、蜜柑山。蜜柑山に止まります」  「蜜柑山…?」  俺は何だか懐かしい感じがして、途中下車してしまった。  「ここって、確か…」
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