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一軒家の殺人から一週間後の八月中旬。
N市のモノレールS駅のトイレで4つ目の事件は起きた。
警察無線による事件発生の連絡を、レンタカーに取り付けたお手製アンテナで傍受した平塚は現場へ急行した。
時間帯は夕方のラッシュアワー只中。
S駅は封鎖。利用客の人だかりが押し寄せていた。
「通してくれ! どいて」
平塚は人波を押し除けて規制線まで進んだ。
トイレに繋がる壁際には血が飛び散っていた。個室の中ではなく、エリア内で襲われたようだった。
第一発見者は体の震えが収まらず、女性警官に介抱してもらっていた。
元が探偵業だった平塚は眼鏡に仕込んだカメラを起動させ、規制線から現場を撮影した。そして巡る思考の中にあるワードを思い出した。
「黒い服の女」
平塚は人混みへ振り向き、目撃情報に似た女を探し始めた。
黒い服、黒い長髪、目つきは鋭く、何かを口ずさむ。
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