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平塚は車道を挟んだ向かい側の歩道を歩きながら女を尾行した。 不気味な女は駅から目を離す事なく、後ろ向きに歩いていた。常に口を動かし、何かを唱えていた。 まるで背中にも目があるかのように、足元のゴミ箱や自転車の往来をスルリと避けて、女は歩き続けていた。 駅から五百メートル程離れ、住宅街へ繋がる交差点に差し掛かった所で女の足は止まった。 女はスッと視点を移動し、駅から目を逸らした次に、何かを捉えたかのように真っ直ぐに住宅街へ歩を進めた。 空は茜色に変わり、日も暮れようとしていた。
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