五分と言わず一生分

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後五分、有れば何ができる? カップラーメンができる。 トイレに間に合う。 遅刻せずに済む。 終電を逃さないようになる。 俺はいつもそうだ。 後五分、間に合わなくていつも損をしてきた。 今日だって五分寝坊し、五分遅く電車が来て結局のところ遅刻した。 挙げ句の果てには人生の重大イベントでさえも告白しようと思ってた女性を五分待たせた。 それでも彼女は笑って許してくれた。 「五味君、君の致命的な五分遅れ、私がどうにかしてあげる。 だから五分と言わず、一生を私に頂戴。」 「は、はい。喜んで。」 逆にプロポーズされ、僕は彼女に五分よりも一生分の時間を捧げるようになった。
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