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なんで私はここに来てしまったのだろう、
高校生になんて戻っても……
「はい!静かに!」
強い口調で藤田先生が叫ぶ。
女の先生だからみんな舐めているのか、なかなか静かにならない。
3度目の叫びで、やっと教室の賑やかさがなくなった。
と言っても、まだ一人二人は話してる感じだ。
「このホームルームで、みんなとはさよならだね。
私は教師になって初めて、このクラスを受け持った。
このクラスの担任になれて、本当に良かったと思ってるの」
先生の言葉はみんなに届いているのか、泣いてる女子もいる。
この言葉を聞くのは二度目だ。
次に先生が喋る言葉が分かるし、先生は言葉の終盤になって泣き出すんだ。
とても不思議な感覚。
そう思いながら、窓の外を見る。
曇りのない青空に、ちょっと古びた体育館が見える。
そして私の横にいるのは……
沖谷 圭一(おきたに けいいち)
そうだ。
私はきっと、この人に会うために戻ってきたんだ。
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