循環停止時間との闘い

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循環停止時間との闘い

「やっぱり……眠れない……。最後の当直なのに……」 私は溜息を吐いて両眼を開いた。 目の焦点がゆっくりと合ってくる。 私が見上げる白い天井のLEDランプは照度が落とされ、僅かな光を放っている。 耳を澄ますと病院の横の海岸に押し寄せる波の音が微かに聴こえて来た。 左腕を上げて時計を見ると既にこの仮眠室に入って一時間近く経っており、休憩時間はあと『五分』しかない。 私はもう一度大きく溜息をついて、当直の業務に戻る為にベッドから起き上がった。 私は秋月加奈、29歳。帝国医大緊急救命センターに勤める医師だ。今日は夜勤の当直勤務に就いている。
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