序章

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序章

さて、突然だか私の自己紹介をしようと思う。 私の名前は真宮 律華。何処にでもいる平凡(?)な高卒社会人だ。 大卒じゃないなんて学歴やばくね?とか思わないでほしい。 頭の問題ではなく金の問題で行けなかったんだ。仕方がなかったんだ。 私は幼い頃に両親を亡くし、祖父母に育てられていた。 しかし、祖母は私が3歳の頃に病気で、祖父はつい半年前に事故で亡くなった。 私は両親と祖父母を亡くし天涯孤独の身となり、荒れに荒れた。 癇癪を起こしては物を投げ壊し、部屋に引きこもる始末。 原因としては唯一の家族で支えであった祖父を亡くしたことが大きかったのだ。 私を引き取ってくれた親戚は最初は腫れ物を扱うかのように優しかったが、毎日のように起こす癇癪で疲弊し全く話しかけてこなくなった。 ただドアの前に食事を置いていく、食事配達係りになっていた。 しかし、諦めてなかった人物が一人いた。 親戚のところの一人息子だ。 彼は私と同じ年で癇癪を起こして物を投げつける私に諦めずに話しかけ続けていた。 しつこいと怒鳴る私に「諦めが悪い性分なんだ」と笑いながら更に投げつけられる物達を軽々と避けたりキャッチしていた。 今思うとあの男は人間じゃないと思う。 話は通じないし鈍感だし無駄に運動神経だけ良いしイケメンだしハーレムだし。なんなんだあの男……。 まぁ、それは置いといてあまりにしつこいクソヤロウ《恩人》のお蔭で私は外に再び出ることになった。 しかし、その頃には進路的にやばくなっていた。 祖父を亡くしたのが11月。私が高校に戻ったのが2月。 学力はあった。多少遅れても巻き返せるほどに。 しかし、金銭的問題が浮上した。 さんざん癇癪を起こして物を壊し、親戚の母親に軽くとはいえ怪我をさせた私に金を出すのを渋ったのだ。 当たり前である。 その話をされながら私は仕方ないと納得していたが、息子の方は最後まで食ってかかっていた。 そして私は就職活動に勤しんだ。 しかし、当然のことながら高卒でそれも二月にまともな就職先があるわけがなく、低賃金かつ肉体労働な就職先が決まった。
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