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やがて、静寂。
静かな寝息だけが聞こえる世界。
どれくらい時間が経っただろうか。
ドン。
パラパラ、ドン。
ヒュー……ドドン。
聞き慣れない大きな音に、有夏はゴシゴシ目をこすった。
「なに……?」
随分長い間寝てしまったらしい。
部屋の中は真っ暗だ。
「さむ……」
エアコンを一旦止める。
人の活動がない為か、室内が異様に冷えてしまっていた。
テレビの主電源とポットの保温マークに灯る明かりが、やけに眩しく眼球を刺す。
「幾ヶ瀬ぇ……?」
言ってから気付く。
奴は今日は帰ってこないのだったと。
有夏はベッドに起き上がった。
「ゲームのつづき……いや、晩ごはん……先に電気」
リモコンに手を伸ばしかけた時だ。
ドン。
先程からの轟音と共に室内がカラフルな光に照らされた。
有夏の白い顔を赤や黄、オレンジの透明な光が順番に染めては消える。
異世界にでも放り込まれたのかと、呆けた表情の有夏。
続けて響く轟音に、ようやく思い至る。
花火だ。
ベランダの扉を開け、バルコニーへ。
有夏は柵から身を乗り出した。
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