お庭番の死神さん

　ここでのお仕事は、朝一番にお庭全体に、たっぷりとお水をあげることから始まるの。命を刈りとる仕事あとに見ていいた、あの雨とは違い、葉をぬらすしずくが心地いい。病気や虫の餌食になっている葉はないか、ゆっくりと時間をかけて見てまわる。必要があれば薬を与え、肥料をまく。花殻をつみ、日の光が良くあたるよう余分な枝を落とし、雑草を刈る。自分で手入れした花たちが咲く様子を見るのは、くだらない理由でわたしを呼び出す人間たちの顔を見るより、ずっとずっと心地いい。

　そんなことを考えていることが、いつまでも半人前な理由なのにね。

　そうねぇ。休憩がてら、あの暑い夏の日のことを教えてあげましょうか。