お庭番の死神さん

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 その人間が帰宅して、目にした者は変わり果てた妻と、三歳になったばかりの息子の姿だった。その人間、カワシマナオヤは肉食獣に襲われたヌーのように、悲痛な叫び声をあげ、聞きつけた隣人が警察を呼んだわ。ナオヤは容疑者として、聴取を受けた。家族の死で真っ白な頭に、刑事が机を叩く音が響く。そんな日々から解放されたあとも、仕事が手につくはずもなく家にこもり続けたの。  ずっと家にこもっているナオヤを心配し、なんども訪ねてくる親や親友。伸び放題の髪とひげ。一年ほど過ぎたころには、ナオヤはベッドから起きるのもやっとになっていたの。そしてナオヤに幼馴染の親友が告げたのよ。 「お前ももうすぐ、家族の元にいけるな。最後に教えてやる、やったのは俺だ。破滅していくのを見るのは最高だったよ」  親友の仮面をかぶって、ナオヤを妬んでいた男は、ずっと機会をうかがっていたのね。  ナオヤの殺したい相手。それはこの親友とナオヤ自身だったの。  わたしの鎌は二つの青白い三日月を描き、暑さが残る夜空には本物の三日月と無数の星が見えたわ。
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