♥14.契約魔法のせいで

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「そんなの、お前のこと気に入ってるからに決まってるだろ」 「はぁ……?」 「これでも、いつか機会があればってずっと思ってたんだよ」 「……」 「……信じてねぇな」 「はい」  あっさり頷きながらも、言われてみれば思うところがないわけでもなかった。  無理矢理地面に突き倒されるわけでもなければ、服を破られるわけでもない。掴んだ手をぞんざいにに振り払われることもないし、触れ方だって確かに優しい……気もする。 「ひでぇな。前にも誘っただろ。森の中で倒れてたあの……黒髪のぼっちゃん見つけた時」 「?」  けれども、それにはまるで心当たりがない。  リュシーが無表情のまま僅かに首を傾げていると、今度はロイが苦笑混じりに溜息をついた。「やっぱ伝わってなかったか」と独りごちるようにこぼしながら。  その刹那、リュシーは一つのワードを思い出した。 「――あ。複数プレイのことですか?」 「それは覚えてんのかよ」  ロイは一瞬ぽかんと口を開け、それから吹き出すように肩を揺らした。 「複数プレイ、したことあるのか?」 「苦手だって言ったじゃないですか」 「苦手だってことは、経験が……」 「うるさいな。違うなら違うって言やいいんですよ」  リュシーは被せ気味に遮ると、自棄になったように掴んでいたロイの手を放した。  そして、 「もういいです。やるならとっととやってください」 「いやいや、どうせなら一緒に楽しもうぜ」 「そういうの、ほんと大丈夫なんで。俺、どちらかと言えば急いでますし――」  平板ながらも、少しばかり早口にまくし立てると、 「ぼっちゃんを待たせてるからか?」 「!」  思いがけない言葉を挾まれ、危うくリュシーはロイの顔を見返しそうになってしまった。
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