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「……いやです」
リュシーは端的に言った。
やはりか……とロイは密やかに奥歯を噛み締める。
アンリとリュシーの関係は、切っても切れない関係だと噂に聞いたことがある。
リュシーはアンリの元を離れられない。そしてそんなリュシーの仕事は、アンリの助手――小間使いのようなものだと、それはリュシー本人からも聞いたことがあった。
……だけどまさか、その中に、性欲処理? のような仕事? まで含まれていたなんて。
自分に口出しする権利はないと分かってはいるけれど、正直複雑な心境になる。自分だって、元々貞操観念なんてあってないようなものなのに……。
「……わかった。じゃあ、後ろ向けよ」
微妙な気持ちを抱えたまま、ロイは低く囁いた。
リュシーは躊躇うでもなく、あっさり身体の向きを変えた。
ロイなりに、色々と考えた結果だった。
アンリとリュシーの関係をどこか面白くないと感じながら、リュシーのことをどこか不憫だと思いながら――それでも自分も後には引けない。だってこんな機会、そうそうあるものじゃない。
それならせめて、少しでもリュシーが楽になればと、万が一目が開いたとしても、そこに映るものが単なる森の景色であるならまだマシなのだろうと……リュシーの反応から、そう勝手に判断したロイは、後ろを向かせたリュシーの中に、改めて3本目の指を挿入した。
「っ……ロイ、もう、いいですから……っ。どうやったって、あんたのそれは、簡単にはっ……」
「色気ねぇな。俺はお前を人形だとは思えねぇんだから、そこは好きにさせろよ」
三本の指をばらばらに動かせば、必然と空気が混じって水音が増した。
「……っ、意識が、あるうちは……、別に人形とはっ……」
「それとはまたちょっと意味が違う」
「え……っぁ……!」
ロイの指が、癖のようにその場所を探り当てる。すると弾かれたようにリュシーの上体が前方へと傾いた。逃げるようなその動きに合わせて、ロイの耳が捕らえたのは、微かに甘さを帯びた吐息。先刻とは違い、目の前の幹に縋るように手をついていたリュシーの爪先も、何かを堪えるように白くなっていた。
ロイは窺うように目を細め、リュシーの項にふっと息を吹きかけた。
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