♥14.契約魔法のせいで

12/18

987人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
「……。……お前さ、出せないって言ったけど……感じないわけじゃないんだな」  一旦手を止め、また動かしてみる。狙いを定めて、同じ場所を圧迫する。  すると口で答えるより先に、リュシーの身体が跳ねて応えた。 「やっ――…」 「ってことはもしかして……」  (うなじ)にかかる青い髪を鼻先でかき分け、あらわにさせた生え際に舌を這わせる。その一方で、リュシーが反応した場所を再度試すように刺激した。 「あぁっ、や、やめっ……!」  とたんにリュシーは背筋を撓らせ、ふるふると頭を振った。けれども、そんな言動とは裏腹に、内壁はもっと欲しいとでも言うようにきゅう、とその指を食い締める。リュシーの腰がゆらりと揺れる。先を望むみたいに粘膜が絡みつく。   「――やっぱりな」  ロイは隻眼を僅かに眇め、掠れた声で囁いた。ぎらついた金の瞳に、いっそう高揚した色が灯る。  中から煽る動きに合わせて、リュシーが吐息を震わせたとき、ロイは不意に手を止め、一気に指を引き抜いた。 「ぁ……っ、……!」  一方的に高められ、途中で放り出されて、もどかしいように戦慄くリュシーの唇。とっさに開きかけた瞼は、けれどもなけなしの理性がすぐに引き下ろした。 「挿れるから、ゆっくり息してろ」  そんな反応に確信を得たロイは、急くようにリュシーの腰を支え、手早く取り出した自身の先端を目の前の窪みに触れさせる。そのままぐっと腰を押し進めれば、僅かに開いていただけの入り口が、ロイの屹立に添って広がっていった。 「いっ……」 「できるだけ、優しくしたいところだけど――」 「べ、つに……優しくなんて、しなくていいですっ……」  リュシーの呼気がひくりと引き攣る。  限界近くまでひっぱられた皮膚から、ぴりぴりとした痛みが走る。  それでもまだロイのそれは収まりきっていない。収まりきっていないどころか、ほんの序盤にすぎないかもしれない。  そう思うと今更怯んでしまいそうになるけれど、例えばいまここでやめろと言ったところで、もうこの発情しきった狼は止まらないだろう。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

987人が本棚に入れています
本棚に追加