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「は……? な、嘘っ……」
怪我はしていない。多分怪我はしていないはずだ。
それがアンリの魔法――あるいは躾のせいだとしても、いまはそこには感謝しかない。
だけど痛いものは痛いし、苦しいものは苦しいのだ!
「大丈夫、お前のこともちゃんとよくするから」
「よくす……とかじゃなくてっ……ぁ、あ、待っ……!」
「アンリはどうだか知らねぇけど……俺は一緒に楽しもうって言ったんだぜ。出せなくても、ちゃんと気持ちよく、してやる……よっ」
望んでない!
「い……っあ、や、――っ!!」
ロイの屹立が構わず内壁を擦り上げていく。絡みつく襞を引きずるようにして最奥へと突き当たれば、さらにそこを何度も小突く。アンリでさえ挿ったことのないその先を、当然のようにこじ開けようと躙ってくる。
「や、そこ、無理、無理っ……やめ、ばか、待っ……!!」
らしくなく、感情的に声を上げ、逃げたいように目の前の幹へと縋り付く。
けれども、そこに返ってくるのはハァハァというロイの呼吸音だけ。
だめだ。このばか犬、待てができない。
いつになく必死なリュシーの反応が、逆にロイを煽っていた。
ロイの充溢が無理矢理その先を綻ばせ、新たな環が開きかけた頃には、ロイの金の隻眼はそれはもうぎらっぎらで、爪も犬歯も伸びきっていた。
「やっ、あ、あぁっ……い、待っ……ひあぁっ」
リュシーの身体を背後から抱き締めるようにしながら、ロイは腰を抽挿させる。
いっそう嵩を増したロイの質量は半端なく、意図せずとも勝手にリュシーのいいところを突いてくる。
追い上げられるたび、リュシーの屹立も天を向く。出せないだけで、ちゃんと反応はするのだ。ただ根元を強く戒められているような感覚があり、うっすらと雫を浮かせることしかできないけれど。
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