♥14.契約魔法のせいで

15/18

986人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
「あ、やっ……そこ、触ん、なっ……!」  リュシーを抱き締めるロイの手が、ついでのように胸の先をひっかいてくる。  長く伸びた爪のおかげで、服の上からでも直に触れられているような――むしろそれを上回るほどの感覚に突起がますます固くなる。 「リュシー……もうちょっと、だから……っ」 (まだ(はい)りきってねぇのかよ……!)  頭の中で蒼白となる一方で、躾けられた身体は次第に別方向へと舵を切る。  痛いのに、苦しいのに、それすら心地いいみたいに変換しはじめるのだ。  下肢が震える。腰が揺らめく。身体が勝手にロイに応えようとしてしまう。胎内(なか)が潤んで、和らいで、もっと奥へと誘うように蠕動し、ロイのそれを愛しいみたいに包み込む。 「ぃ……っぁ、ああぁっ!!」  ロイがリュシーの両腕を取り、後ろに向けて強く引いた。  その瞬間、身体の中で、あり得ない音が聞こえた気がした。 「はい、った……」  ロイは僅かに顔を歪め、それから恍惚としたような表情を浮かべた。耳に残るリュシーの悲鳴すら、心地いいみたいに目を細める。 「……ほら、大丈夫だったろ?」  ロイは囁くように言って、口端を引き上げた。  目を閉じているリュシーにその(さま)は見えないけれど、甘く掠れた声や息づかいから何となく想像はついた。  彼は今、ひどく高揚しているに違いない。 「な、にが……っ大丈夫、だよ……! ぅ、あ……!」  ロイはまだ動いていない。動いていないのに、上擦った声でそう漏らすだけでも歯の根が震える。  奥の奥からの感覚が鮮烈すぎて、怖いくらいに背筋が戦慄いた。 「アンリのおかげとは、思いたくねぇけど……」 「あ……ぁ、深……っ……」  引かれたままの腕が軋む。ロイが思い出したように、腰を動かした。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

986人が本棚に入れています
本棚に追加