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「あ、やっ……そこ、触ん、なっ……!」
リュシーを抱き締めるロイの手が、ついでのように胸の先をひっかいてくる。
長く伸びた爪のおかげで、服の上からでも直に触れられているような――むしろそれを上回るほどの感覚に突起がますます固くなる。
「リュシー……もうちょっと、だから……っ」
(まだ挿りきってねぇのかよ……!)
頭の中で蒼白となる一方で、躾けられた身体は次第に別方向へと舵を切る。
痛いのに、苦しいのに、それすら心地いいみたいに変換しはじめるのだ。
下肢が震える。腰が揺らめく。身体が勝手にロイに応えようとしてしまう。胎内が潤んで、和らいで、もっと奥へと誘うように蠕動し、ロイのそれを愛しいみたいに包み込む。
「ぃ……っぁ、ああぁっ!!」
ロイがリュシーの両腕を取り、後ろに向けて強く引いた。
その瞬間、身体の中で、あり得ない音が聞こえた気がした。
「はい、った……」
ロイは僅かに顔を歪め、それから恍惚としたような表情を浮かべた。耳に残るリュシーの悲鳴すら、心地いいみたいに目を細める。
「……ほら、大丈夫だったろ?」
ロイは囁くように言って、口端を引き上げた。
目を閉じているリュシーにその様は見えないけれど、甘く掠れた声や息づかいから何となく想像はついた。
彼は今、ひどく高揚しているに違いない。
「な、にが……っ大丈夫、だよ……! ぅ、あ……!」
ロイはまだ動いていない。動いていないのに、上擦った声でそう漏らすだけでも歯の根が震える。
奥の奥からの感覚が鮮烈すぎて、怖いくらいに背筋が戦慄いた。
「アンリのおかげとは、思いたくねぇけど……」
「あ……ぁ、深……っ……」
引かれたままの腕が軋む。ロイが思い出したように、腰を動かした。
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