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「や――あぁあっ……!」
悲鳴じみた嬌声が辺りへと響いて、開かれたままのリュシーの唇がはくはくと開閉する。
深く貫いたままのロイのそれを、うごめく襞が引き絞るように締め付ける。
危うく立っていられないほど下肢がわななき、背筋が小刻みに震えてしまう。口端からこぼれた唾液が、首筋へと伝い落ちていく。
「ぁ……あ……、っ……」
うわごとめいた声が漏れる。頭の芯がびりびりと痺れているようだ。ロイに掴まれたままの腕にもまるで力が入らず、今にも意識が飛んでしまいそうだった。
「は……ほんと、えろいな、お前……」
やはりリュシーが吐精することはなかった。
それでもちゃんと達したらしいのが分かって、ロイは楽しそうに隻眼を眇めた。舌なめずりするみたいに唇を舐めながら、弛緩したリュシーの腕から手を放す。
……やっと終わったのだろうか。
ロイが出した感覚はなかったけれど、それでも満足してくれたなら幸いだ。
リュシーは霞む思考の片隅で、密やかにほっとする。
――けれども、ロイはその細い身体を再び後ろから抱き締めると、今度は一方の手のひらでリュシーの下腹部を押さえつけてきた。そうしながら、またしても腰を密着させてくるのだ。
「ちょ、待……っ俺、い、達ったばっかだし……もう……っ」
「知ってるよ」
「ぃ……っあ、それに、ぁ、なに……苦し……っ」
リュシーの言葉も半ばに、ロイは接合部を擦りつけるようにして、根元の際までしっかりとくわえ込ませてくる。するとまた一段と苦しさが増した気がして、リュシーは堪えるように奥歯を噛み締めた。
「あぁ……根元? 俺ももう、達きそうだからな」
根元? 達きそうだから?
リュシーには意味がわからない。
「アンリにはなかっただろうけど……狼にはあるんだよ」
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