18.魔法の訓練

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「多分、これくらい君ならすぐだよ」  ぱらぱらと開いて見せられた紙面には、一般的な人間の文字(共通文字)が書いてあった。それを魔法使い特有の言語に書き直すのが次回までの課題らしい。  〝ジーク()なら〟とカヤが言うだけあって、ジークは意外と筋は悪くない。並行して行っているコップの水を揺らす訓練も、程度はどうあれ、一週間ほどでできるようになっていた。  ちなみにカヤはお世辞にも人に教えるのが上手いとは言えない。  カヤ(本人)がほぼ直感で全てを成り立たせてしまうからだ。  にもかかわらず、真面目に努力できる性分も手伝ってか、現時点でのジークの上達は平均より早い方だった。 「で……今日からは一応、こっちも」  言いながら、カヤが足元に置いていたものを拾い上げる。  ややして目の前に差し出されたのは、穂先が筆のような形をした一本の箒だった。 「箒……」  ジークは瞬き、開いていた本を閉じると残りの数冊と重ねて少し端に寄せた。  そして改めて(それ)に向き直る。 「ちょうど昨日できあがったって連絡があったから」  頼んでおいた職人から――。  箒は魔法使いの必需品(必須アイテム)なんだよ、とカヤは続けた。  そのわりに、ジークが知る限りカヤはいつも自転車(普通に地面を走ってくる)なので、そのせいかそこまでしっかりと結びついてはいなかったが、言われてみればアンリの家でも、アトリエの端に立てかけられているのを見たことはあった。
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