18.魔法の訓練

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「こんなふうに、君の名前が出てくるはずだから」 「そう、なんですか」 「うん。多分近いうちに。……恐らく。きっと。……そのはず……」  言いながらも、微妙に自信がなくなってきたのか、誤魔化すようにカヤの声が小さくなる。  かと思うと、それを更に誤魔化すように、一転、また明るい声が響き渡った。 「大丈夫! 君が魔法使いの血を持っているのは間違いないから。時間の問題!」 「は……はい」 「とりあえず毎日寝る前にぎゅってしてみて。で、無事名前が刻まれたら、教えて。次に進むから」  ぎゅってして、の意味は少々はかりかねるが……。  思いながらも、カヤの根拠のない(直感でしかない)自信に気圧され、 「わ、わかりました!」  気がついた時には、ジークは敬礼でもしそうな勢いで頷いていた。  *  *  *  カヤに箒を渡されてから、ひと月が過ぎていた。  しかしながら、近いうちに、時間の問題といわれたわりに、いまだに柄はきれいなままだ。  それに落ち込む一方で、ジークのアンリへの夜這いは続いていた。  いまだ本人はそれに気付かないまま……。 「……いい天気ですね」  昨夜もアンリの寝室(部屋)を訪れていたジークは、今日も嫌味なくらい清々しい心地で空を見上げる。なのにその声はどこか陰りを帯びているようにも聞こえ、カヤは切り株のテーブルに持参した焼き菓子を並べながら小さく首を傾げた。  恒例ともなっている、習練のあとのティータイムでのことだった。
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