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「いいよいいよ、ほんと何でも言ってよ。何でも聞くよ」
「はい……えっと……」
ジークはカップをソーサーに戻すと、記憶を辿るようにぽつりぽつりと話し始めた。
「最近、俺……身体の調子はいいはずなのに……」
「あぁ、それはいいことだなぁ」
「はい……なんですけど、そのわりに……全くないんです」
「ん……? ないって、何が?」
「その……………せ……よ……が」
「んん? ごめん、よく聞こえなくて」
「だから………あの、……せ……ぃよ……」
「え?」
「だ、だから……っ…………せ、……性欲がっ………ないんです……っ」
結果、間もなく彼の口から飛び出したのは、あまりに思いがけない言葉だった。
それを耳にしたリュシーが、その背後で思い切り噴きそうになったのは言うまでもない。
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