♥19.夢か現か

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「あぁ……っや、……んんっ」  達したばかりで過敏になっている身体が、逃げたいようにたじろぐ。  そのくせ、 「私の言うことが聞けないのか」 「やっ……あ、待……っ」  ならばとアンリが僅かに身を退()くような素振りを見せれば、恐慌したようにアンリへと手を伸ばしてしまう。 「次は、我慢、する……するから、これっ……」  その手はまっすぐアンリの下腹部へと下りていく。慣れた手つきでアンリの服を肌蹴させ、取り出したそれに指を絡める。両手を使い、絶妙な力加減で(つつ)み込み、先端から滲み出るものを指の腹で塗り広げるようにしながら、その位置を緩やかに上下させる。 「……っこれ、早く……」  この二ヶ月の間に覚えたやり方で、ジークなりにアンリを煽る。  そうしていると、ジークの方もますます身体の奥が疼いてくる。  ……その熱が早く欲しい。  胎内(なか)が寂しい。    勝手に揺らめく腰が止まらない。  ジークは()えかねたように、アンリのそれを引き寄せるようにしながら、自らも身体を寄せ、そのまま自身の(あわい)へと導こうとしてしまう。 「勝手なことをするな」  そんな仕草に、アンリは突き放すように言ってその肩を押した。  ジークはよろめき、その背が再びシーツに沈む。痛いくらいに張り詰めている屹立が、それを覆う布地に更にはしたない染みを増やしていた。 「これで我慢しているつもりか」 「ひ、あっ……!」  知らしめるようにアンリがそこを押さえつける。ジークの腰がびくりと跳ねる。それだけでまたとろりと蜜があふれた。  達するには至らなかったが、代わりのように、(こら)えようと閉じた目の(きわ)から涙がこぼれ落ちた。  アンリは手の位置をずらし、鼠径部を辿るようにして指先を下着の中へと潜り込ませた。裾側から布をめくり上げ、あらわにさせた谷あいはすでにしとどに濡れており、色づいた窪みが焦れたようにひくついていた。 「――いいな。()くなよ」  アンリはそのまま自身の先端をそこに宛がった。
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