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「あぁ……っや、……んんっ」
達したばかりで過敏になっている身体が、逃げたいようにたじろぐ。
そのくせ、
「私の言うことが聞けないのか」
「やっ……あ、待……っ」
ならばとアンリが僅かに身を退くような素振りを見せれば、恐慌したようにアンリへと手を伸ばしてしまう。
「次は、我慢、する……するから、これっ……」
その手はまっすぐアンリの下腹部へと下りていく。慣れた手つきでアンリの服を肌蹴させ、取り出したそれに指を絡める。両手を使い、絶妙な力加減で包み込み、先端から滲み出るものを指の腹で塗り広げるようにしながら、その位置を緩やかに上下させる。
「……っこれ、早く……」
この二ヶ月の間に覚えたやり方で、ジークなりにアンリを煽る。
そうしていると、ジークの方もますます身体の奥が疼いてくる。
……その熱が早く欲しい。
胎内が寂しい。
勝手に揺らめく腰が止まらない。
ジークは堪えかねたように、アンリのそれを引き寄せるようにしながら、自らも身体を寄せ、そのまま自身の間へと導こうとしてしまう。
「勝手なことをするな」
そんな仕草に、アンリは突き放すように言ってその肩を押した。
ジークはよろめき、その背が再びシーツに沈む。痛いくらいに張り詰めている屹立が、それを覆う布地に更にはしたない染みを増やしていた。
「これで我慢しているつもりか」
「ひ、あっ……!」
知らしめるようにアンリがそこを押さえつける。ジークの腰がびくりと跳ねる。それだけでまたとろりと蜜があふれた。
達するには至らなかったが、代わりのように、堪えようと閉じた目の際から涙がこぼれ落ちた。
アンリは手の位置をずらし、鼠径部を辿るようにして指先を下着の中へと潜り込ませた。裾側から布をめくり上げ、あらわにさせた谷あいはすでにしとどに濡れており、色づいた窪みが焦れたようにひくついていた。
「――いいな。達くなよ」
アンリはそのまま自身の先端をそこに宛がった。
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