♥19.夢か現か

9/24

987人が本棚に入れています
本棚に追加
/260ページ
 今夜はまだ指一本入れていないそこは、特性(体質)はあれどそのままでは確実に狭い。艶めかしく収縮してはいるものの、綻びきってはいないのだ。 「ぁ、あっ……」  それでもジークの身体は、やっと待ち侘びたものが貰えるのだと歓喜する。気持ちが逸って、自ら迎えに行くようにもますます下肢を開き、腰を浮かせてしまう。 「ぃ、ん……っ、ぁ……!」  アンリの形に沿って入口が(ひら)いていく。つられるように、唇も戦慄く。笑うみたいに、緩やかに弧を描く。  ……けれども、数拍遅れで頭に届いた〝()くなよ〟という言葉が、一瞬、その思考をぶれさせる。  守れるだろうか。守れなかったら本当に欲しいものはもらえないのではないだろうか。  ……だがそれも後の祭りだ。 「ぃ――っあぁあ……!!」  アンリはジークの下肢を大きく抱え上げ、次にはその充溢を一気に最奥へと捻じ込んだ。 「ぁ、いっ――ぃあ、あ……!」  狭い内側(なか)を強引に割られて、ジークは引き攣ったような声を上げる。  ヒート中であることもあって、身体の順応性は高い。とはいえ、圧迫感や違和感がなくなるわけではないし、今回ばかりは痛みもあった。  堪えるように奥歯を噛み締めてしまう。それでも、不意に緩む口から漏れる吐息は甘い。  隘路を擦られるたび、芳醇な香りが強くなり、包み込むような浮遊感に頭の芯までとろけそうになっていく。  腰に蟠っていた紐はいつのまにか完全に(ほど)け、さらされた胸元は触れられてもいないのに小さな色づきをツンと隆起させていた。 「ん、ぅ、あぁっ、ぃ……っ」  いっそう身体を折るようにされると、勝手に接合部が上を向く。ほとんど垂直に突き込んでくる動きに合わせ、ぐちゅ、ぐちゅりと淫猥な音が部屋に響いた。  反り返った自身の先端が布の下で擦れている。次第に先端が上から覗いて、戯れのように胸の先を爪で弾かれると、呼応するみたいに白濁が僅かに飛び散った。
/260ページ

最初のコメントを投稿しよう!

987人が本棚に入れています
本棚に追加