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「見ながら入れろ」
「で、できない……」
今度ははっきり断られた。
アンリは目を眇め、不意に顔を近づける。
そのままあえて甘く口づけると、ジークは一瞬目を瞠ったものの、それから逃げることはしなかった。どころか、次には自分からも追うように唇を開き、舌を絡めてくる。
なるほど、できない=嫌なわけではないらしい。
「――ジーク」
アンリは唇を触れ合わせたまま、名前を呼んだ。差し伸べてくる舌を食み、唇を舐めながら、と同時に、浮かせたままだった腰の狭間を、示すように先端で躙る。
「あ……!」
「ほら、ここだ。いつも喜んでやっていたことだろう」
上擦った吐息を漏らす唇を揶揄うようについばみ、アンリは宛がった屹立で窪みを押し上げる。
その中心が微かな水音と共に口を開けると、とたんに目の前でとろけていた瞳が大きく揺れた。その反応がますますアンリの加虐心を煽る。
「あ、んんっ……」
「……私と駆け引きでもするつもりか」
アンリはジークの腰に添えていた手に力を込めて、かと思えばそのまま手本でも見せるかのように泥濘を広げていく。
そのまま嵩の張った部分が通り過ぎるまで一気に貫くと、ジークは怖いように声を上擦らせた。
「ひぁあっ……や、やめ……っ、待……!!」
――やめろ?
待てだと?
半ばまで埋められたそれに、たまらないように背筋をわななかせながらも、ジークはやはり自分から腰を落とそうとはしない。
そのくせ繋がりを解こうともしないその様に、アンリは双眸をぴくりと細めた。
「――ジーク」
唇の隙間から直接注ぎ込むように、再度彼の名前を口にする。その瞬間、虚ろだったジークの瞳に光が戻った。
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