♥19.夢か現か

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「ひぇあっ……! あ、ちょ……っ、ちょっと待ってくださ……!!」  ジークは慌てて首を振り、アンリの身体を押し返そうとする。紅潮した頬を更に色濃く染めて、必死に腕を突っ張るが、 「んぁ……っあ、や、何……っ」  そうして逃げようとするたび、意に反して内壁はアンリを締め付け、焦れったいように腰が揺れる。  屹立は萎えることなく反り返り、垂涎するかのように雫をこぼす。言葉とは裏腹に今にも膝を折ってしまいそうで、ジークは「違う」とばかりに首を振った。 「お前が自分から始めたことだろう」 「え……っ、え?」 「こんな時間に……寝込みを襲いに来たのは誰だ」 「お……俺が……? アンリ……さんの、寝込(ねこ)……? ひぁっ……!」  信じられないと真っ赤な顔のままアンリを見返すが、その隙を突くように腰をぐっと押さえられる。  ぐちゅりと響く音と共に、更に奥へと埋められる質量にジークは背筋をわななかせた。 (う、嘘だ……、俺が、アンリさんを……なんて、そんなこと……っ)  半端な膝立ちに、だるくなってきた大腿が震える。すぐにでも腰を落としてしまいたいのに、手放せない理性がその邪魔をする。  その一方で、相変わらずアンリをくわえ込んでいる環はひくつき、隘路は誘うように蠕動してしまう。どんなに意識がはっきりしようと、身体の奥へと灯り続ける熱が冷めたわけではないからだ。  ……いや、冷めるどころかいっそう欲しいみたいに胎内(なか)は疼くし、そのたびに張り詰めた充溢からもとろとろと蜜があふれてくる。 (何で……だって俺、ここのところずっと……)  不自然なくらい性欲がない(そういう気分にならない)と、カヤに相談したくらいだったのに。 「やめたいならやめればいい」 「え……っ」  ジークは瞬いた。 「やめたいならな」  言うなり、アンリは手を離す。
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