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「ぁっ……!」
支えをなくしたジークはよろめきそうになり、とっさに触れていたアンリの肩を強く掴む。
アンリが目を眇めたのに気づいてすぐに手を放すも、そうするとまたバランスを崩し、ますます慌てる羽目に――。
その結果、
「わっ……!」
ぐらりと後ろに上体が倒れそうになり、それを堪らえようと伸ばした腕が、再びアンリの首へと伸ばされる。
「あっ……んん!!」
次の瞬間、ジークはアンリに自ら抱きつくようにして、そのまま腰を落としていた。
「ぁ、あ……っあ、嘘……っ」
しかもそれに合わせて白濁が散ってしまった。
挙げ句、達してもなお勝手にゆらめく腰が止まらない。
まるで頭と身体が解離してしまったかのようだ。だがそこにある感情は、悲しいとか怖いとかよりも、ただただ信じがたい……要は〝恥ずかしい〟に尽きる。
だって自分がどう思おうと、身体はこんなにも善がってしまう――……。
「違……っ、そんな」
「何が違う」
「ぜ、全部……っ」
「全部? 何も違わない。それがお前だ」
「そ、な……っ、や、ぁ、んんっ……」
目端も頬も耳も首筋も真っ赤にしながらふるふると首を振る。そのくせ自分から抽挿を促すように動いてしまう。
あまりの羞恥に滲む涙が、アンリのガウンの肩口を濡らす。このアンリにしがみつくような格好もやめなければと思うのに、そうして顔を見られるのはもっと恥ずかしい。
認めたくはないけれど、きっとはしたなく蕩けた顔をしているから。多分、記憶にある前回よりも、もっと、ずっと。
小柄とも華奢とも言えない自分が、女の子みたいに抱かれて、こんなにも気持ちよくなっている。そんな表情、とても人様の目にはさらせない。
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