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「あぁっ……!」
淫猥な水音を響かせながら、突き当たるまで穿たれる。ジークは押し出されるように声を上げ、頭を仰け反らせた。
「あぁっ、や、待っ……待って……っ」
「待てないのはお前だろう……?」
落とされる平然とした声が、ことさらジークの熱を煽る。
アンリは一方の手をジークの中心へと伸ばし、とろとろと止めどなく雫を垂らし続けるその先端を指先で躙った。
「素直になってみろ。どうしたい」
「ぃ、っん!」
それだけでジークの腰がびくりと跳ねて、少量の飛沫があふれ出る。
せめてもと咄嗟にシーツを掴み、唇を噛むが、結局は堪えきれなくて頷いてしまう。
「だ、出したい……」
「中に欲しいのではなかったのか」
「な、かにも……ほし……っ」
口にしてからはっとする。慌てて取り消したいように首を振る。
やはりどう考えても変だ。
発情中の酩酊状態ならまだしも、これだけ思考能力のある状態で、自分がそんな懇願をするなんて。
前回の――意識がある中での時に似ているけれど、あれよりもずっと振り幅が大きい。身体が慣れてきているせいか、求めるものが明確だし、そのくせどこか俯瞰的に見ているかのような冷静な思考回路にますます追い詰められてしまう。
それが薬のせいだとは思わないジークは、ただただそんな自分が信じられず、いっそうの羞恥に身を竦ませる。
だけど、だけど――。
「あぁっ……んっ」
そんな迷いを試すみたいに内壁を擦られ、屹立を緩やかに扱かれると、まんまと天秤が傾いてしまう。理性ではなく、本能の方に。
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