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「……きれいだなぁ」
ジークはふわふわとした羽根を目の上に掲げ、透かし見るようにしながら微笑んだ。
その表情はあまりに嬉しそうで、幸せそうで……そしてある意味ゴミとも言えるそれを、ばかみたいに大切そうに扱うその手つきに、
(おめでたいやつだな……)
思いながらも、何だかリュシーまで擽ったいような、照れくさいような心地になってしまう。
「俺……これどこで拾ったんでしょうか。……あ、隣の……アトリエの鳥かご――」
「あとで買い物付き合ってもらえますか」
「えっ……あ、はい」
「今日はちょっと荷物が多いので」
リュシーは言葉を遮るように言って視線を逸らした。
何か調子が狂う……。
そのなんとも言えない気まずさに、思わずそのまま踵を返す。
「出かける用意ができたら声かけてください」
そして最後にそう言い残すと、後は振り返ることもなく部屋を出る。
「……何か急ぎの用事でもあったのかな」
ジークは瞬き、独りごちる。
見送る背中に慌てて返事はしたものの、それにもリュシーは何も応えてはくれなかった。
「えっと……とりあえず、準備」
ややして思い出したように頷くと、ジークは持っていた羽根を箱に戻し、気持ちを切り替えるように背筋を伸ばした。
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