20.束の間の

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 以前カヤに相談した時は、結局話が違う方向に流れてしまったし、そもそもその時の内容は、今思い出しても顔から火が出るくらい恥ずかしい勘違い(もの)だった。  となると、それこそアンリに聞けるはずもなく、そのままになっていたのだけれど。  自分はいつ騎士団に戻れるのか。  このままアンリの薬――例えば今の――を飲んでさえいれば、淫魔としての症状は抑えられるのか。逆に飲み続けなければ平穏な日常は送れないのか。  そしてそれは、一生続くものなのか――。  考えてみれば、聞きたいことは山ほどあった。  淫魔だとか、発情期だとか。それも男なのに(メス)型……だとか。  突然突きつけられたそれは、いまだどこか他人事のようだったけれど、それでもちゃんと受け止めて、付き合っていかなければならない現実だということはさすがにジークも理解していた。……頭では。  *  *  *  食後にはいつもリュシーがその日に合わせてブレンドしたハーブティーを用意する。  そこには当たり前のようにお茶菓子も添えられており、それをアンリが一つ食べ終えるのを見届けてから、ジークは思い切って口を開いた。  翌朝のことだった。 「あ、あの――」 「失礼します」  けれども、それは半ばで掻き消され、と同時に開いたドアの前に立っていたのは、ラファエルだった。
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