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「飛行魔法をすっ飛ばして転移魔法とか、魔法薬の調合ができるようになるとか……ちょっと意味わかんなかったからな」
「別にいいだろう。だいたい、飛行魔法のことだけはお前にとやかく言われたくはない」
「……言われると思ったけど。……って言っても、俺は初めて箒握った瞬間に名前出たって話だからな? それはもう生まれてすぐとかに」
「名前が出ても、契約が出来ても、乗れなかったら意味ないだろう。現にお前、今まで何度箒に置いて帰られている。もう数も言えまい」
「うっ……」
ずばずばと返す刀で斬られて、カヤはハーブティーを飲むに逃げる。
そして廊下ではジークが、先の話もずっと継続して聞いていて――。
(アンリさんが、一年……)
けれども、その言葉は励みになるどころか、
(あのアンリさんが一年……。ってことは、俺は? 俺だといったいいつまでかかるんだ……?)
逆にいっそう追い打ちをかけられるように感じられて、ジークはそのままぺたりと床に座り込んでしまった。
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