♥21.一人遊び

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 カヤの話によると、アンリは魔法使いの中でもランクが高い方だということだった。  具体的に言えば、純血のカヤは別格として、大まかにわけられる、S~Eまでの中でアンリのランクはS。対してジークは覚醒したてということもあり、C~Dくらいかなということだった。 (そんなの……何年かかるんだよ……)  箒に名前が出るまでの期間と、ランクは必ずしも比例しない。  そう確かに説明された。  だけど……だけど。  比例しないって言われても、正直自分がアンリより早くできることがあるとは思えない。 「……はぁ……だめだ」  考えたところで仕方ないのに、考え出したら止まらなくなる。 「とりあえず今日は寝よう……」  自分に言い聞かせるよう呟いて、ジークは静かに目を閉じる。  午前中、ずっと外で作業していたこともあるのだろう。  そうしてじっとしていると、思ったより身体も疲弊しているのがよくわかる。  騎士団にいた時はもう少し体力があった気がする。  本格的に飛行魔法の練習に入ったらまた変わるだろうか。  ……だけど、そうなったらそうなったで心配なこともある。  結果()けて通れないのであればと、いまは自分の中で蓋をしているそれを、ジークはまだカヤに言えていない。 「…………」  ジークは目を閉じたまま、深呼吸を繰り返す。  けれども、そんな時に限って眠気はなかなか下りてこない。 (……あ)  それどころか、温かな布団の中で、久しぶりに身体が火照ってくるような感覚を覚えて、小さく頭を振った。  努めて振り払おうとするものの、一旦それを意識すれば、その熱はどんどん腰に集まってくる。 「……あぁ、もう……」  血が目覚めるより、ずっと以前から覚えのあるそれは、いわゆる生理現象だ。  ジークは今、とくに発情期というわけではないし、その兆しでそうなっているわけでもなかった。  仕方なく、ジークおずおずと布団の中に潜り込んだ。  箒を立てた傍の窓から、淡く射し込む月明かりが部屋の床を照らしていた。
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