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「……っ、……」
上掛けの中、ジークは横向きに身を丸くして、自らの下腹部へと手を伸ばしていた。
目を閉じ、僅かに眉根を寄せて、既に兆している屹立を服越しにゆるゆると撫で上げる。
ほどなくして先端に雫が滲み、うっすらと目を開けたジークは、急くように服の中へと手を入れる。もどかしいように前を寛げ、取り出したそれに指を絡めると、
「ふ、……っ、……」
努めて声を堪えながら、自分のいいところを的確に擦り立てていく。
嵩の張った部分を引っかくようにしながら、先端を躙り、あふれた蜜を塗り広げるように、筒状にした手のひらを根元から上へと規則的に往復させる。
「……ん、……っ」
その傍ら、もう一方の手を胸元に添え、躊躇いがちながらも部屋着の合わせから中へと指を差し入れる。
躊躇いがあるのは、覚醒前には触れることのなかった場所だからだ。
それがアンリに抱かれてから――特に最近は、兆せば触れたくなってしまう。堪えようにも堪えきれず、何なら危うく屹立の更に下方へと手の伸ばしたくなってしまうのだ。
せめてそれだけは、と控えてはいるが、段々と達するまでに時間がかかるようになってきていることを、ジークは薄々自覚していた。
(でも、だめだ……)
自分にはまだそこまで開き直ることはできない。
……今はまだ。
「っ、……ぁ、んん……っ」
追い立てられるよう屹立を煽る動きに合わせ、手の中の容積が増していく。ジークは身を捩り、自分で口を塞ぐよう、シーツに顔を押し付けた。
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