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「……っ」
ジークの瞳に色が戻る。酩酊していた意識が、急速に輪郭を取り戻していく。
リュシーに飲まされた薬の効果だろうか。その瞬間、先ほどまでの様相が嘘みたいに、ジークははっと我に返った。
「――え……っな、何……!?」
自分の置かれている状況を、遅ればせながらに――意味は分からないながらも――把握して、ジークは慌てて身を捩る。頭を過ったのは、寮の自室で、ルームメイトに組み敷かれた時のことだった。
「えっ、あァ!? ――なんだよ、お前……っはァ?!」
今にも押し入れようとしていたところを寸でのところで躱されて、ギルベルトがあからさまな声を上げる。
苛立ちもあらわに見下ろすと、ジークは半ば恐慌状態のまま、シーツの上を必死に這い逃げようとしていた。ギルベルトはその足首を「逃がすかよ」とすぐさま掴み上げた。
「さっきまであんだけ誘っといて、今更やめるとかねぇから!」
ギルベルトは力任せにジークの身体を引き摺り戻し、次にはその身を仰向けにひっくり返す。かと思うと、ジークの下半身を胸に付くほど折り曲げさせて、あっと言う間にその体勢で固定した。
「な、何で……っ?!」
信じられない。
信じられない。
いったい何が起こってるんだ。
「まっ……待って、離……!」
ジークは思わず胸をあえがせた。気がつくと、下肢に衣服を蟠らせたまま、必要最低限にだけ露出させられたその場所を見せつけるみたいな格好になっている。
「ひぁっ、待……っ、や、やめ……!」
さらされたあられもない場所に、刺さるような視線を感じる。あまりの羞恥に喉が引き攣り、ジークはまともな言葉が紡げない。
せめてもと力一杯、身体をばたつかせようとするものの、それすらギルベルトは巧みに抑え込み、
「お前の事情なんか知るかよ! いいから黙ってヤられてろ!」
急な様子の変化に違和感を覚えつつも、次にはさっさと自身に手を添えて、ジークのそこへと切っ先を擦りつける。
そのまま上から垂直に突き立てるように腰を落として、先端を泥濘へと埋め込んでいく。
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