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「俺が育て直してやるよ。ベッドの上で、な」
「ごめんなさい。さっき連絡が来たんだけど、母が危篤で」
なんとか矢崎さんのお誘いを断りたくて、嘘をつきました。
ごめんなさい神様。ごめんなさいお母さん。
嘘をついたら、「いい人」ではなくなってしまうのかもしれません。
でも、この嘘だけはどうか許してください。お願いします、見逃してください。
「それは残念だ。また会おうね」
矢崎さんは去り際、片目をつむりました。多分ウィンクなんだと思います。
私はまっすぐ家に帰りました。
ベッドの上に正座して、両手を合わせて祈ります。
1週間こんなに頑張ったんだもん。
絶対に大丈夫ですよね?
神様どうかお願いします。
カナタくんを、私の手に。
いざ!
私はスマートフォンを手に取ります。
胸が高鳴ってきました。どうしましょう。
もうすぐカナタくんに会えるのだと思うと、どきどきが止まりません。
深呼吸して落ち着こうと思います。
すー。はー。すー。はー。
よし、なんとか大丈夫そうです。
田端梨沙、頑張ります。
私はとあるアプリを立ち上げました。
カナタくん。待っててね。
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