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「うああああー!」
私はスマートフォンを放り投げ、ベッドにうつ伏せになって叫びました。
え? なぜかって?
カナタくんがいつまでも来てくれないからに決まっています。
あんなに徳を積んだのに。あんなにいい人になったのに。
こんなにお金を注ぎ込んでいるのに。
スマートフォンを拾い、涙目で画面を見つめました。
そこには、笑顔でケーキを食べるカナタくんの姿があります。
誕生日限定カードです。
カナタくんの誕生日から7日間しか引けない、限定ガチャ。
来年になるとまた違う絵柄になってしまうのです。
嬉しそうにケーキを食べるカナタくんは、今年手に入れられなければ、二度と私のものにはならないのです。
ああ、ほっぺに生クリームまで付けちゃって。私が取ってあげたい。
私はどうしてもカナタくんの誕生日である今日、カナタくんを手に入れるつもりでした。それなのに。
「カナタくん……どうして来てくれないの?」
私は泣きました。
最初の20連くらいまでは、頑張って貯めた無料の石でどうにかなると思っていました。
でも、カナタくんは全然来てくれません。
とりあえず10連1回分買いました。
カナタくんはまだ姿を見せてくれません。
どうせ出るまで回すなら、と1万円分買いました。
出ない。もう1万円。
そこから先はよく覚えていません。
いくら使ったかなんて、言いたくありません。
やはり神様はちゃんと見ていらっしゃるのでしょう。
私の「いい人」はうわべだけで、ホンモノではないと見抜かれてしまったに違いありません。
それならばいっそ。私は。
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