いい人、7日目

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「俺が育て直してやるよ。ベッドの上で、な」 「ごめんなさい。さっき連絡が来たんだけど、母が危篤で」 なんとか矢崎さんのお誘いを断りたくて、嘘をつきました。 ごめんなさい神様。ごめんなさいお母さん。 嘘をついたら、「いい人」ではなくなってしまうのかもしれません。 でも、この嘘だけはどうか許してください。お願いします、見逃してください。 「それは残念だ。また会おうね」 矢崎さんは去り際、片目をつむりました。多分ウィンクなんだと思います。 私はまっすぐ家に帰りました。 ベッドの上に正座して、両手を合わせて祈ります。 1週間こんなに頑張ったんだもん。 絶対に大丈夫ですよね? 神様どうかお願いします。 カナタくんを、私の手に。 いざ! 私はスマートフォンを手に取ります。 胸が高鳴ってきました。どうしましょう。 もうすぐカナタくんに会えるのだと思うと、どきどきが止まりません。 深呼吸して落ち着こうと思います。 すー。はー。すー。はー。 よし、なんとか大丈夫そうです。 田端梨沙、頑張ります。 私はとあるアプリを立ち上げました。 カナタくん。待っててね。
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