TRY1 シケーダと聖水カップ

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TRY1 シケーダと聖水カップ

 〘ここは、テスト・リアリティ・ヤード。略してティーアールワイ。転じて『トライ』と呼ぶ地球外の異空間生還者生活圏。〙  そう書かれた一枚のプリント。これを手にした者は地球から突然転移された日本人のみ。このは来た者の脱出は不可能のまさに地獄絵図の中であった。 「ナニが生還者生活圏? サバイバルホラーとかガチで糞ゲーなとこに集団拉致した手のこんだイタズラだろう?」 「確かに、しかも見たところみんな日本人だらけじゃないか?」 「ホントだ。拉致られたみんな、若い日本人という雰囲気だ」  どこからともなく、呼び寄せられた広場全域にスピーカーから漏れる耳障りな轟音がエコーしだした。 『みなさ〜ん、ご機嫌よう☆ ここは無限時空間〈ネバーアーク〉。全員共、ここでポイント稼ぎに励んでくださいませ。高ポイントのセッターには生還グッズを仕送りします。是非とも楽しんでくださ〜い‼ シー・ユー・アゲーン‼』  ここで生き抜くにはポイントを稼ぐ事と判ったが具体的な流れが判らない。  福士嵬斗(ふくしがいと)と名の少年の腕に得点腕鐶(ポイントバンド)が出現しだした。その中央にある端末らしいのがアナウンスしだしたらしい。 『このバンドは、時空間で生活する為の装置で自分からは外れません。死ねば解除できます。まずは一億ポイント保有ヒッターはポイント稼ぎしなくても減点対立者が一人もいなければ、ここでの安全な生活ができます。つまり、ここからは脱出不可能の世界なのです。ポイントの為ならば他のヒッターとの殺戮課題も遂行せねばなりません』 「って事は……バトルロイヤルじゃねえか?」 「嫌よ、生還ってぼっちになる結果なんて〜」 「そうだそうだ‼ 団体でリバイバルする内容なら気が紛れるのにさ」 「選ばれた俺たちは、ぼっち生還が約束されていた……て事なんだな」  と嵬斗は言った。 「殺戮のミッションがあるのは、避けたいわ。誰一人も殺したくないもの」 「突然バトルロイヤルワールドというのに、プロ的なゲーマーのブレーンが中にはいるはず。そういう事実なんて誰も教えないと思うしな」  頭脳派な金尾学(かなおまなぶ)が冷静に答えた。 「そこの眼鏡かけたモヤシ野郎、脅かすなよ。プロゲーマーが勝ち抜くなんて。あんただろう? どうせ頭脳明晰ぽい雰囲気だし」 「わたくしは冷静に解析したまでですよ」 「そうよ。このインテリ眼鏡が勝ち抜くに違いないわ」  周囲がざわめいてる時に、おそらくは全員に例の腕鐶があっという間に装着されただろうか。 「うわっ。僕にもこのポイント稼ぎのバンドが着いたぞ‼」 「どうやら全員がバンド着いてしまったんだな。こういう所だ。無理に外せば、やったら死ぬだろうな」  広場の遠い方から金切り声の悲鳴が轟いた。 「キャアアアア‼ バンドを無理に引き抜いたが突然に発火しだして白骨に⁉」 「俺の推測の手前で、まさかの事例ができるなんて……な。恐ろしくなってきたぜ」
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