私の彼は上司で10歳年上で転勤が決まりました

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「七星、ごめん」 突然、頭上から、誓くんの静かな声が降ってくる。 ごめんって、何? 嫌いになったから、別れるってこと? そんなのやだ! 「誓くん、私……」 言いたいことがありすぎて、何から言えばいいのか分からない。 「七星、ずっと考えてたんだ。俺は七星が好きだけど、七星にとって、俺と一緒にいることが、本当に幸せなのかって」 やだ! 別れるなんて言わないで。 誓くんと一緒にいたら、幸せに決まってる。 いろんな思いが、胸いっぱいに膨らんで、あふれそうなのに、うまく言葉にできない。 「俺は、七星より10歳も年上だ。この先、きっと俺は七星より先に死んでいなくなる。あと何十年かしたら、たかが転勤でこんなに取り乱す七星を置いて、俺は先に死んでしまうんだ。その時、七星は、どうするだろうって思うと、安易にこの先の約束はできないって思った」 それって…… もっと年の近い人と結婚しろってこと? そんなの…… 私は、誓くんじゃなきゃダメなのに。 「でも、だからって、七星を手放すこともできなくて、中途半端なまま行こうとしてた。だから、ごめん」 『ごめん』なんて言わないで。 「やだ……」 私は、ようやくそれだけを絞り出した。 別れるなんて言わないで。 さよならなんて言わないで。
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