プロローグ

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プロローグ

プラネット大陸北部ホルン地域。 草木が生い茂る広大な森に黒煙は舞う。 風が強く吹き荒れて、煙が靡くその下で、何十人という人間が悲鳴を上げて散り散りに逃げていく。 大木が青い炎に焼かれ、大地は焼け焦げ、煙は風に流された。 雨戸カケルは青い炎をものともせすずに突き進み、焼け残った小さな建物から、逃げてしまったであろう人々が残した金品を物色する。 (良くもまあ、こんなに集めたものだ) カケルが指でつまんだ宝石は、世界でも有名な種類のものだ。なんらかの原因で色違いが出来上がる鉱物だ。 カケルの前には、普通に生きていたのでは決して見られない代物ばかり乱雑に置かれている。他にも箱に納められた武器や得たいの知れない薬草が溢れている。中にはお高い皿や魔術道具も混じっている。 カケルは、建物から売れそうな品物を引きずり出しては、焼けた森に重ねていく。 その中には、銀色の小さな筒があった。 筒中には砕かれた骨が入っている。 中を確かめたカケルは筒を眺めた。 (創造主ブラックベルベットが残した遺産とやらに、何かしらの骨か。こいつは売れそうな予感がする。いや、そもそも、本当に創造主の墓だったのか?) カケルが追いやった団体は、プラネット大陸を作り出したとされる創造主ブラックベルベットの墓を荒らした。 巨大な遺跡の一番奥にあった扉を無断で開いて、中に納められた武器や得たいの知れない骨董品などを盗み出したのだ。 カケルは、旅の資金欲しさに団体を潰しにホルン地域までやってきた。 カケルは、手にした筒を揺らす。 骨はほんの少し入っているだけで、本当に人間のものかどうかまではわからなかった。 創造主は神だ。 神の眠る場所に、人間の骨があるなど違和感がある。それならば、他の場所から紛れこんだのかとも考えたが、結論は出なかった。
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