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Episode.片想い、はじめました。
好きな人ができた。それまではなんとも思っていなかったのに、ある日突然、好きだと気付いた。
なんだか目で追ってるなー、とか、なんだか声が聞こえると嬉しいなー、とか、自分でも思い当たるフシはいくつかあったんだけど、気付かないふりしてたのかな?
「ねぇ、どう思う?」
「いや知らねぇし」
「なーんでよー、相談できるのあんたしかいないのにー」
「ほかに友達いんだろ。そういう話は女同士のがいいんじゃねぇの?」
「女子には男子の気持ちがわかんないんだもん」
むくれる私にイツキは顔をしかめて見せた
「それより早くその問題やってくれませんか。時間は無限じゃないんです」
「うー」
イツキは隣の家に住む幼馴染で、いつも勉強を教えてくれる、私の好きな人……の親友。
イツキはクラスの女子にも人気が高い。なんでコイツ? 別に普通の男子じゃん。って思うけど、それは幼馴染だからだよ、って良く反論される。別にいいけど。
「ねーイツキ、ここってさぁー」
「んー?」
イツキは自分の宿題をやりながら、私に数学を教えてくれる。数学が得意なところはかっこいいと思うけど、あとは本当に普通の、そこらへんにいる男子なんだけどな。
「あぁ、ここは……」
問題を紐解きながら答えへ導いてくれる。その教え方は本当にわかりやすい。
「……って説明で、わかる?」
「なるほど! うん! わかった! ありがとう!」
「うん」
私が満面の笑みでお礼を言うと、イツキはいつもぶっきらぼうに顔をそむける。
「そんな怒んなくてもいいじゃん」
「怒ってねぇよ」
「ならいいけどさ」(怒ってないならいいや)
半分は納得してないけど、いつものことだしと課題に向き合う。
彼はいつもイツキと一緒にいるから、イツキのそばにいた私は彼のいいところに気付けたんだと思う。こんなはじまり、あってもいいんじゃないかな?
まだ未来はわからないけど、自然と気持ちが浮き立って頑張ろうと決意する。
いつか好きな人と、幸せになるために。
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