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大学生二年生の時、チャットにはまっていた。
夜な夜な見ず知らずの人が集まるチャットルームに顔を出し、ものすごい勢いで流れる会話に必死にくらいついて文字を打つ。
チャットルームは不思議な空間だ。
年齢も職業もわからない、性別すら本当かどうか怪しい、ハンドルネームしか知らない人たち。
でも、だからこそ、相手が発する言葉だけを手がかりに、色眼鏡なしで相手のことを受け入れられる。
僕はそんなフラットな関係性が好きだった。
チャットルームで気が合いそうな人ができると、個別にチャットをすることもできた。
僕はヒカリンという女の子と仲良くなり、一対一のチャットをするようになった。
僕が仲良くなれるぐらいだから、ヒカリンはチャットルームでは人気者だった。
僕は、頭の回転が早くていつも元気なヒカリンと、他愛もない話をしているだけで充分楽しかった。
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