家族

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新築の一軒家。 しかし、手入れが行き届いていない。 雑草が伸びきっていた。 それに何処か……息苦しさを感じた。 そして、その家の扉から出てきた人は三十代くらいの夫婦だった。 憑かれていたのは妻の方だ。 二人は家の雰囲気とは違い明るく、気さくで俺達を居間へと案内してくれた。 「今日はお越しくださりありがとうございます。」 夫の方が一言そう言い、妻と頭を下げる。 それに続いて、俺達も頭を下げる。 「早速なのですが妻の状態はどうなんですか?」 「すぐにでも夢魔を祓えば大丈夫です。 では、奥様。心に残る思い出か何かお聞かせ願いませんか。」 奥様は一口お茶を飲み、思い出を懐かしむ様に話し始めた。 「そうね。やっぱり結婚式かしら。 もう一生着ることのない白いドレスはいつ思い出しても良いものね。 それと、この人の告白とかね。」 「お、おい、それは恥ずかしいからやめてくれないか。」 「言わなきゃ私、死んじゃうかもよ。」 そう言われ、旦那さんは言葉に詰まる。 そして、隣の子はそれを楽しそうに聞き入っていた。 なんかもう、仕事の事を忘れてそうな、 それはもう楽しそう表情をして。 *** 「それでね、この人ったら。 大勢が人がいる前で告白したのに途中で噛んで赤らめて、周りの声援に背中を押されてたのよ。」 奥さんはクスクスと腹を抱えながら笑う。 夫は下向き顔を隠していた。 だが、隠し切れないほどに耳が真っ赤に染まっていた。 結月さんもクスクスと笑っていた。 しかし、どれも空振っている気がした。 会話の雰囲気から夫婦の大切な思い出である事は間違い無いだろう。 でも、なんか……。 「そ、そろそろいいんじゃないか?」 夫は情報収集はもういいのではと促す。 て言うよりかは早く話をやめて欲しそうだった。 「はい、もう大丈夫です。」 話の内容から夢魔は夫に化けて出てくる可能性が今のところは一番高い。 しかし、夫婦は仲が悪いわけでもない。 妻が心の何処かで思っている夫への気持ち。 それに探りを入れたい。 だが、今の関係をうまく取り繕っている状態なのだとしたら今深掘りして、夫と妻の関係が破綻でもしたらややこしくなる。 「先輩?」 この場にいる三人が俺に視線を向けていた。 考え込んでいたせいで場の空気の変化に気づかなかった。 「あ、悪い。」 「大丈夫ですか。 無理なら今日は……。」 心配してくれるのは嬉しいが俺がやると決めたのだから断るわけにはいかなかった。 「いや、大丈夫。ミッション開始だ。」 「はい!」
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