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……はあ。昔はあんなに可愛かったのに。
ナナは大学三年生になった。
大学に入ったら、どうしても一人暮らしをしてみたいと言うので、実家に頻繁に顔を出すことを条件に下宿生活を許した。
大学のある立川にアパートを借りた。我が家は中野だ。立川と中野なんて電車で30分の距離なのだから、わざわざ一人暮らしをする必要なんてないのだ。家から通えばいいものを。そしたら毎日パパと一緒にいられるのに! ナナのバカ!
しかもだ。
まともに実家に顔を出しに来ていたのは最初の二か月だけ。毎週末に来ていたのが、月1になり、そのうち数か月に一回になった。
親に顔も見せずに、誰が学費を払ってると思ってるんだ。ナナのアパートの家賃だって、パパが払ってるんだぞ。パパがいなきゃナナは大学も一人暮らしもできないんだぞ。ナナは僕に感謝して、もっと実家に帰ってくるべきじゃないのか?
ああ。本当に今のナナはかわいくない! 全然かわいくない! パパはこんなにナナに会いたいのに、ナナはパパに会いたくないんだもんね!
「そんなに会いたいならパパがナナのアパートに行けばいいじゃない」ってママは言うけど、絶対に僕からは行かないぞ。
なんでかって、はっきり言ってパパはいじけているからだ!
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