パパ×ナナ

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 大学が夏休みに入って、昨日からナナが(うち)に来ている。  地方から来ている大学の友達が帰省しはじめて、自分もそろそろ顔出さなきゃと思って来たんだろう。  僕は実に、五か月と11日ぶりにナナの顔を見た。  こんなに長い間ナナが家族を放っていたことが僕は腹立たしかった。  が、それはそれとして、正直に言ってナナが帰ってきてくれたことは嬉しい。嬉しすぎる!  と、心の中で思っても、絶対に口に出して言うもんか。なんせパパはいじけている!  それにナナは昨日来たばかりだというのに「今日の夜には帰るから」だなんて言い出した!  もう僕はショックで死にそうだ。夏休みだからてっきり何日もいるものだと思っていた。  そういえば昨日、何日も泊まるにしてはやけに荷物が少ないなあと思ったんだ。クソ! あのとき気付いていれば、余計な期待をして傷つかずに済んだものを。  ナナ、まだ帰らないでくれよ。さみしい! イヤだー!!  考えろ。考えるんだ。何かいい作戦を。  父親の威厳を保ちながら、ナナが帰る日を考え直す気になるような作戦を。
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