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「なにそれ。虫歯菌?」
「そ。虫歯は虫歯菌のせいでなるのよ。虫歯菌はね、キスしないとうつらないの。パパ、小さいころナナによくキスしてたでしょ」
「そんなの、パパのせいとは限らないじゃないか。ママだって、ナナにキスしてたし!」
「ママはほっぺにキスしてたけど、パパは口にキスしてたでしょ? ママがそう言ってた」
「そ、そうだったっけー?」
ほんとは覚えてるけど。
「ほんっと信じらんない! 普通ほっぺでしょ!? 娘のファーストキス奪う!?」
え、ダメだったの? パパの親友の岩下も、娘の口にチューしてるって言ってたぞ。他の友達はみんなしてないって言ってたけど。
「ナナだって、パパのキスもらって嬉しそうにしてたじゃないか」
「そんなの覚えてないわよ!!」
ショーック!! パパ、大ショック!! ナナは覚えてないのか。パパにキスされて嬉しそうに笑っていたあの頃の記憶は、ナナにはないのかー!!! パパが一人で生み出した幻想だったとでも言うのかー!
「ちょっと待てよ。それってほんとにパパのせいなのか? 口にキスって言ったって、かるーく、かるーくしかしてないし。パパよりさ、ほら、カ、カレシ……とかじゃあ……」
「それって誰のこと? 雅也君? その前に付き合ってた奏汰? それともその前の……」
「アーアーアーアー!! 聞きたくない! もういい! もういい!!」
「何よ、自分で聞いてきたくせに」
はあ、はあ。余計なダメージを負ってしまった。
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