05 -ZERO FIVE-

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 それよりも、また無駄に時間を食ってしまった。  制限時間まであと00:01:05……。  バイクを疾走させたまま、腕時計へ視線を向ける俺の脳裏に秒を刻む鼓動音が静かに鳴り響く。  クソう! あのガキどもが! あと1分になってしまった……なんてことだ! 指定ポイントはまだなのか?  だが、その時、苛立つ俺の目に一筋の光明が飛び込んでくる……ターゲットが指定してきた今陣(いまじん)銀行の本店が目に入ったのだ。  制限時間まであと00:00:55……。 「よおし! 見えたぞ、土井! あの建物で間違いないな?」 「ああ、釈。それが今陣銀行の本店だ! 急げ! もう時間がない」  俺は一応、本部の土井に確認をとってみるが、そこで間違いはないようだ。 「言われなくてわかっている。走行に集中するんで通信を切るぞ!」  制限時間まであと00:00:45……。  俺は秒を刻む鼓動を聴きながら、目標の銀行を全速力で目指す。  大丈夫だ。自分の力を信じろ、釈! 俺なら45秒もあれば余裕で間に合うはずだ。  制限時間まであと00:00:30……。  心の中で自分を励ましながら、俺はなんとか30秒前に銀行の駐車場へと滑り込んだ。  時間がない。俺はそのままバイクを正面入口に投げ出すと、ブツ(・・)の入ったYATHCO製のバッグだけを持って建物内へと駆ける。 「待ちたまえ! なんなんだ君は!?」  だが、自動ドアが開くと同時に中へ飛び込んだ俺に、制服を着た警備員が立ち塞がってその足を止める。  それはそうだ。バイクを入口に放置するような輩を不審者と思わない方がどうかしてる。
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